やはり何が楽しいといって、みんなで歌うというのは楽しいでしょう。楽しいんです。大体、合唱なんて団結を強固にするとか、そういった政治的な理由以外には楽しいから、ということくらいしかないでしょう。大声だして町中を困らせるべきだ、とかそういうのが楽しい、なんてひともいないでしょう。結局、みんなで歌うということが楽しいからやるんです。それ以外に理由なんかないんです。それにまた練習してるときもなかなか楽しいんですよね。大体、ただ歌うためだけに人が集まり、練習し、そして歌う。こんな能天気な楽しみかたなんかそうざらにはないと思いませんか。カラオケ屋なんぞに小グループで行って他人が歌ってナルちゃんになってる間に次に自分が歌う歌をページをめくって探してる、なんてのとは次元が違うような気にすらなってきます。それに、練習を重ねて重ねて重ねた末の本番の合唱を迎えたときの緊張感、歌い終えたときの達成感、これらは、カラオケなんかでは味わうことができない喜びであり、楽しみです。合唱はあくまでも集団を作って行うものですが、合唱のすばらしい、あるいは恐いところは、個人個人の意識を高めてゆかなければ結局は集団としての合唱は失敗するということなのです。結局、個々の構成員の自分との戦いの集合体が、合唱団になるのです。個々の構成員が、他の人がうまく歌ってくれるから僕はまあいいや、と思いはじめたら、その合唱団はおしまいです。つまり、先ほど自分との戦いといいましたが、さらに全体と個人の戦いでもあるわけです。なんか、 All for one, one for all とかいう言葉がありましたが、そんな言葉を地で行ってしまいます。これほど緊張感を醸し出しやすい構造体もないんじゃないですか?そして、緊張感が高いほど、成功したときの達成感は大きくなることは間違いなく、達成感は喜びを引き出します。