小林 けい 様の解決策



<解決策其の参>
(をいをい、其の壱と其の弐がねぇぢゃねぇか)

「仮想四部合唱」これを実現するのです。まず、インターネット上でしかもリアル
タイムで合唱を行うという方法が考えられますが、これは現状の貧弱な回線品質で
は無理です。

ではノンリアルタイムではどうか。個々の演奏パートを録音したデータをインター
ネット上でやり取りをし、リーダーがそれを合成する。方法としては可能ですが、
これでは「合唱」とは言いがたいものになってしまうでしょう。しかしながら、リ
アルタイムが無理ならばノンリアルタイムでいくしかない、所詮は「仮想現実」な
のだと割り切るならば話は別でしょう。
極端な話、音の品質を優先するならば個々のパートを録音したテープをやり取りし
て合成してまうのが一番てっとり早いのですが(笑)、それでは話が終わってしま
います。あくまで、インターネットと仮想現実にこだわって考えてみましょう。

曲の長さにもよりますが、もしインターネット上でファイルをやりとりする場合、
その容量が問題となります。一般の音楽用CDと同じ品質を求める場合、1分あた
り約10MBの、仮にモノラルにしてもその半分の5MBという膨大なファイルになってし
まいます。これではいくらテレホーダイ+定量制という黄金の組み合わせをもって
しても非現実的な話です。そこで登場するのがRealAudioフォーマットです。この
フォーマットを使用すれば、高音質のもの(といってもかなり品質は低いですが)
でも1.8Kbyte/secという非常に小さな容量で音のやりとりが可能になります。楽曲
とテンポを決め、各自歌ったモノを集めて編集すれば、とりあえず合唱らしきもの
が出来上がるでしょう。ただし難点は現在RealAudoフォーマットを読み込んで編集
できるソフトが(おそらく)無いということでしょう。一旦他のメディアに音とし
て記録し、それを再度パソコンに取り込むという作業が必要になります。ただでさ
え悪い音質のさらなる劣化は避けられないでしょう。

しかし、一旦変換したデータは自由に加工が可能になります。ここでのポイント
は、自分のパートだけを抜いたファイルを作成するところにあります。他の3人は
既にレコーディング済みのカラオケ状態であっても、自分はそれに合わせ、自由に
歌うことができるのです。お互いが各自のパートを抜いたもので歌うことにより、
それぞれは自由に歌うことが出来るわけです。安っぽいバーチャルリアリティより
も現実に近い疑似体験ができるでしょう。

アイディアとしては、歌う時間を決め、それぞれその時間に一斉に歌うのです。遠
く離れていても、同じ時間に同じ歌を合唱しているという不思議な一体感、想像力
の豊かな人であれば、あたかも合唱しているときのような満足感が得られるに違い
ありません。学術的には「異空間同一時間帯共生対結合論」として共立女子大学助
教授の坂田登氏が興味深い実験結果を発表しています(うそ)。

そして、最終的に「オフ」としてメンバーが集まり、実際に合唱してしまえば、こ
れは仮想ではなく現実となります。また、もし集まることが出来ないとしても、発
表の場は簡単に作れます。そう、RealAudioファイルとしてホームページで公開して
しまうわけですね(RealAudioサーバーがあればの話ですが)。ある意味で、趣味の
四部合唱の発表会よりは多くの人の耳に届く可能性が大きいでしょう。これにより
「大勢の前で発表する」ことによる緊張感も味わえてしまうわけです。

他にもアイディアはあるのですが、インターネットを利用した仮想四部合唱という
ことならば以上の方法が一番現実的と考えます。

三部合唱なら「トリオホン」って手もあるけどね(笑)


堕落の園より: 小林 けい 様、素敵な解決策をありがとうございました。栄えある解決策提示第一号です。まさか本当にくるとは思っていなかったのでとてもうれしいです。
この策の中でも大変素晴らしいのは「歌う時間を決め、それぞれの時間に一斉に歌う」という点です。まさに未来感覚に富み、ヴァーチュアルということでだけでなく基本を忘れずにしかも充足感、一体感を味わうことができるこの案を発案したことは、近来希に見る、いや、人類史上初の快挙といえるでしょう。技術に走らず、素直に人間を見詰めて、この案は輝きを帯びました。読了した今、私は感動の涙を押さえ切れません。


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