- 宇宙人訪問団 -


彼等の母星はバイキン星という。
地球から五千六百万光年の遥かかなたにあるそうだ。
彼等の責務は宇宙中を虫歯だらけにすることにあるという。


宙人訪問団の団長近影。
彼は地球人との接触に際して細心の注意を払ったそうで、我々がそこはかとないやつれを感じたと伝えると、それはその心労のためだろう、と応えてくれた。どの星でも管理職というのは大変らしい。
彼等が地球に来たのは米国航空宇宙局がはるか昔に打ち上げた人工衛星ボイジャーを見かけた彼等とはまた違った宇宙人との井戸端会議から地球人の存在を知り、彼等の責務への責任感から遠路を押してやってきたそうだ。まことに責任感の強さに感心させられる。
宇宙にも井戸端というものが存在することについて団長は、井戸端は時空を超えて普遍であり、熱量の第2法則はその井戸端より出ずる、とコメントしてくれた。地球での扱いは単なる水道の代替施設であるが、その利用方法だけでは不足であるらしい。


々のカメラを覗き込む団長。
われわれのカメラを指し、これは何かという団長の問いに、これは撮影装置だと応えると、我々がまだ光学レンズを使った映像記憶装置を使っていることにひどく驚いておられたのが印象的だ。幸い、撮影にはCCDを用いたデジタルカメラで行ったが、フィルム式のカメラを用いていたら団長はそのことを理解できなかったかもしれない。彼等はすでに化学的な感光現象を利用しなくなって久しい。彼等の科学技術力はわれわれのそれをはるかに凌駕している。


長と副団長。
彼等は、地球人でいう白人、黒人、黄人のようにそれぞれ肌に固有の色をもっているが、さすがに彼等は地球人のような愚かな人種間対立などというものとは無縁なようである。地球人に至っては同色人種間でも異文化を持つというだけで相手を殺傷しようとするほどの愚かさである。このままでは我々は彼等が持つ文明のレベルに達する遥か手前で滅びざるを得ないだろう。彼等もそれを感じているらしく、熱心に人種間対立の愚を説いた。


列する地球訪問団幹部たち。
いよいよ地球人に愛と虫歯を与えるために宇宙船を進発するところである。錚々たるメンバーが並んでいる。副団長を中心に団長(写真手前)と航海長でもある団長の弟さん(写真奥)が並び、以下続々と居並ぶ姿は我々の救世主かとみまごうばかりである。写真には写っていないが、後列には夥しいばかりの隊員たちが進発を今や遅しと待機している。彼等は軍事組織をとっているわけではないが、地球でもそうであるように効率化された組織というのはどうしても軍隊に近くならざるを得ない。それは彼等も同様らしく整然と組織されていることが伺える。彼等と同時に幾分隊もの隊員たちが進発し、多発的に作業を行うそうだ。



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