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去る1996年8月24日、東京はお茶の水の「ロシヤ料理БАЛАЛАЙКА(バラライカ)」にて、第4回お食事会が開催されました。ご参加の方々は下記の3名の皆様です。
今回のお食事会は陛下の「週末何か食べに行く!」というお誘いから始まりました。何かというのが何なのかというのはこの際問題ではなく、食べに行くという行為そのものが重要であり、「なに」は後から決まります。これが正しい順序です。
とはいうものの今回も難航しました。陛下とIRCを使っての話し合いもすぐに脇道に逸れてしまうし(逸らしてしまうし)、一時はどうなるかと思いましたが幸い陛下が良い店をご存知で複数案を提案していただいたところを私がその中から一つ選択して今回の会場が決定しました。それが今回のロシア料理店「バラライカ」です。
この店の外見はただ者ではありません。陛下は学生時代にいつも店の前を通っていたそうですが、あまりの異様さに入った事はないけれども気になって気になって仕方がなかったそうです。陛下の恩師は店に入った事があるという事でしたが、取りたててその時の模様を聞いたというわけではなく依然としてその全容は分からぬまま、今回の入店となりました。なぜ聞いておかなかったのかと責めたくなるような出来事が入店した直後に早速起こりました。
入店直後、いきなり荷物をお預けくださいという先制攻撃を食らってしまい、われわれは思わずたじろぎました。うすうすは場違いさを感じてはいたものの、これで決定的となってしまったわけです。つまり、はっきりと場違いである。余談ですが、このために気づいたときにはデジタルカメラを取り上げられてしまった事になっており、今回も写真はありません。このページで使われている写真は後から撮影したものです。それはまあいいとして、われわれはネクタイはもちろんしているわけも無く、さらに私などは穴の空いたジーンズなど穿いている始末で、この先制攻撃のショックから立ち直った直後にダッシュで逃走すべきだったのではないかと後から思ったのですが、実際にはそこで立ち直る余裕を持たせず第2地下へご案内します。という攻撃を食らったのです。われわれは地下にご案内を食らうような悪い事などしたのだろうか?という不安と自責が脳裏をかすめるまま、しかし体の自由を奪われてしまっているためにまるで店員さんが魔法にかけたようにするすると地下へと吸い込まれてゆくのでした。
大袈裟です。
ただ、腰がひけていたことは間違いありません。
地下に降りてみると、外見からは想像も付かないほどの広さがあります。写真を見てもらえれば分かるかと思いますが、外見はかなり小さな店なのですが、実はこうしてみるとどうも1Fは単に荷物置き場とトイレ、2Fは賄いの休憩所になっているのでしょう。つまり地下こそがこの店だったのです。われわれはこの事実を理解したとき、驚きを隠す事が出来ませんでした。そう、一言で表すならばや、やべえとでも言いましょうか。しかし、いまだに体の自由は奪われたままで、促がされるままに着席しました。着席しました、はいいんですが、そのテーブル、なんとまあ照明は赤い蝋燭が基調となっており、これまた唖然とするような場違いさをさらけ出す始末。どう考えても穴の空いたジーンズをはいてるようなムサイ野郎が三人も連れ立って入るような店ではありません。しかし、かくなるうえは注文あるのみです。
上の写真を見てお分かりのように、店の入り口からは想像もつかないほどの広さがあります。テーブルにはそれぞれ蝋燭とK○K団用の赤いマスク・・・ではなくてナプキンが備え付けられ、花が飾られている始末です。
当然ながらメニューを店員さんが持って来てくださるわけですが、見てもさっぱり分かりません。ロシア語と日本語を併記してはあるものの、なにを頼んでいいのか・・・。見かねて店員さんは写真付きのパンフレットを持って来てくださり、懇切丁寧な解説をしていただいたもののやっぱり良く分からないわれわれはコースでお願いする事としました。このコース、最低8千円からだったのですが当然われわれは8千円のコースをお願いする以外にありません。しかしそれでもこれに決するまでにかなり時間がかかっています。さらに、お飲み物は?と聞かれてしまいました。絶体絶命のピンチです。なぜなら、ワインなんかわかりません。これまたたっぷり時間をかけてようやくロシア独特の赤ワインをお願いする事が出来ました。もうここまでくるだけで精神的に疲労困憊といったところです。
これが頼んだコースのパンフレットからとった写真ですが、ロシア本国の猛烈な経済事情の悪化に伴う措置なのかどうかは知りませんが、キャビアが削られていました。また、メインディッシュは幾種類かあり、この写真のものは陛下が頼んだものと同じです。そういえばケーキもついていなかったような?気もしますが、ちょっと記憶が曖昧です。さらに、オードブルなどは多少違いますが、気にしないでください。
まずワインが来ました。なかなかこのワインは皮の渋みなのでしょうか、この渋みがアクセントになってなかなかおいしいワインです。残念ながらなんというワインだったかを忘れてしまうようなていたらくですが、少なくともシャンベルタンなどといったものではありませんので心配ご無用です。あとで陛下に聞いたところによるとバラライカワインだったのではないかということでした。
我々が頼んだ料理は前述のとおりコースだったわけですが、まずレバーのムースと鮭および鱈のスモークが印象的な料理が運ばれてきました。みゃんねん氏は例のごとく(つまり蟹みそ以来ずっと口にし続けているセリフであるところの)なんか変をいきなりレバーのムースに対して適用しました。その後、蟹みそみたいだとはっきり言ったのでまさしく蟹みそが頭に浮かんでいることが明白となりましたが、それは余談です。私や陛下はその「なんか変」であるところのムースは結構おいしいと思いましたので、別に変ではないことを申しそえておきます。また、鮭のスモークは大変一般的ですが鱈のスモークは余り聞きません。どんなものかと思い食べてみましたがこれがなかなか食感も味も予想外なもので、これはたくさんは食べることが出来ませんが、オードブルとしてまことに相応しいものだと思います。
さらに、黒パンについて触れなければなりません。先に書いた料理の前にパンが運ばれてくるわけですが、これが黒パン。さすがロシアと変なところに感心してしまいます。普通、フランス料理はもちろんイタリア料理だって大抵はフランスパンが運ばれてくるわけで、すっかり油断していました。大体、黒パンなんてめったに口にすることなどありません。さっそく口に運んでみたところ独特の風味に最初は抵抗を感じたものの、少なくとも私には美味しく感じられました。殊にバターとの相性が普通の白パンよりも良いようで、これはマーガリンではこうはいかないのではないでしょうか。 しかし正直なところ、最初に口に含んだときに黒パンを常食としているアルプスの少女ハイジが、そのおじいちゃんに食べさせようとクローゼットに大量に白パンを貯え込んでいたという事実に肯きたくなってしまった事は正直に認めなければなりません。
つづいて、スープが運ばれて来ましたが、このスープはかなりおいしいものでした。それこそご飯をなかにぶっこんでかき混ぜて食べたいくらいの勢いです(私の発想は言いようもなく下品です)。肉と野菜のうまみが十分に溶け出しており、このスープはまさに至高の逸品といえるでしょう(料理の鉄人の見過ぎ)。見たところ、みゃんねん氏が一番気に入っていたようで、無言ですすっていました。もちろんわれわれだって彼に負けず劣らずですが。
ここで、ロシア音楽の生演奏が始まりました。なにやら三角形の胴をもったギターに似た楽器が壁に飾ってあったのですが、陛下が店員さんに聞いたところ、それをバラライカというそうです。この店の名はあの楽器から取ったという事だったわけで、店員さんも聞かれてショックだったかもしれません。弦は3本しかなく、それぞれ高音と低音にチューンして2人一組で演奏するそうで、つまりバラライカを一つにまとめるとギターになるという事でしょうか。今回はギターも加わり3名での演奏でしたが、時折聞いた事がある曲も演奏され、ハチャトゥリャンやチャイコフスキーしか知らない私どもはなんとなく賢くなったような気もしないでもありません。ところで、バラライカという単語、思い出してみればなんかの歌詞の中にも出て来ますね。アジアの純真でしたかどうか。それで聞いた事があったのかもしれません。これは余談です。
ところで、われわれの隣の席にいた老夫妻はこの店は始めてであったようですが、痛くこの店をお気に召したようにお見受けしました。口を開けば賛辞が飛び出し、実に心から愉しんでおられるご様子。見ているわれわれも心温まる様な光景でありました。特に陛下は隣の老夫妻がえらいお気に入りのご様子。必死に笑いをこらえていました。お土産もお買い求めになられたようで、間違いなくこの次も、それも近いうちに来る事でしょう。これも余談です。
上の写真が余談のその模様です。お断りしておきますが写っている人たちはわれわれでも前記の老夫妻でもありません。演奏者たちがわれわれに近づいてきたときには、正直にいってほとんど恐慌寸前でした(私だけですが)。老夫妻のところでとどまってくれていたので本当に助かったような気がします。陛下お気に入りの老夫妻は演奏者と共に歌っておられました。
さて、そろそろ開き直ってきたわれわれが次に挑むのはメインディッシュであるところの茸スープ、串焼き、ハンバーグシチュー(それぞれ正式名称は失念しました)です。それぞれ順にみゃんねん氏、陛下、私が担当しました。この中で一番豪勢なのは陛下の串焼きです。火にかけたまま目の前まで運んできて、そのまま皿へ載せて串をぬきます。余談ですが私にはどう見てもシシカバブーにしか見えませんでしたが、それはまさしく余計なお世話ってものです。また、茸スープについてはみゃんねん氏にはあまり満足の行くものではなかったようです。たべても食べても茸ばっかりとの事でした。私の料理については可もなく不可もなくといったところです。
メインディッシュも済み、その後なんかあったような気もしますが、忘れました。で、食後のコーヒーまたはお紅茶となったわけですが、前出の老夫妻はロシアンティーにジャムを入れる際、これでもかこれでもかというほどに(カツカツカツと音を立てながら)ジャムを入れていた容器を洗う必要がないのではないかと思わせるほど丹念に掬っては紅茶に運んでいたのを見ていた私たちですから、当然そのようにしなくてはなりません。とかいって私はコーヒーにしましたが。
陛下とみゃんねん氏は一生懸命ジャムを入れてました。ジャムはラズベリーだと思われますが、本当のところは不明です。誰かさんなんかはそれでも足りなくて?砂糖まで入れてました。当然ますます飲みづらくなるのではないかと思うのですが・・・。
ところで、ロシアンティーには今までママレードをいれるものだとばかり思っていたのですが、ジャムでもよいようです。要するに甘けりゃ何でもいいのでしょうか。さすがにロシアは寒い国だけあって一味違うものです。
この後、どこで支払うの?とか多少同様はありましたが、大変な満腹感とともに荷物を受け取って店を後にしました。最後にトライしたロシアンティーとコーヒーの甘さに口直しの必要性を感じ、数時間ほど近くの喫茶店にて駄弁っていましたが、これは料理がまずいということでは全くなく、大変満足した今回のお食事会でした。
ご参加の皆様、ありがとうございました。
バラライカ所在(1996年8月末日現在) | |
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神田店 | 御殿場店 |
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03(3291)8363/6737 | 0550(82)3013 |
営業時間 | 11:00〜23:00 |
演奏 | 18:00〜20:30 |