THE WORLD
OF
CHINESE POETRY
漢詩的世界
碩鼠
「詩経」(魏風)
より
爰 樂 適 逝 莫 三 無 碩
得 土 彼 將 我 歳 食 鼠
我 樂 樂 去 肯 貫 我 碩
所 土 土 女 顧 女 黍 鼠
爰 樂 適 逝 莫 三 無 碩
得 國 彼 將 我 歳 食 鼠
我 樂 樂 去 肯 貫 我 碩
直 國 國 女 徳 女 麥 鼠
誰 樂 適 逝 莫 三 無 碩
之 郊 彼 將 我 歳 食 鼠
永 樂 樂 去 肯 貫 我 碩
號 郊 郊 女 勞 女 苗 鼠
この詩と私
「魏風」とは人名でない。魏という国の民謡、といった程度の意味である。古典中の古典、「詩経」から抜粋した。詩経以前に文学はない。なぜなら、これ以前に資料がないから、とされている。もちろん、この私のシリーズで一番最初に扱ったもの(それを詩とするならば)に見られるように、この詩経からいきなり漢詩が出てきたというわけではないことは言うまでもない。
詩の内容は、ネズミを為政者と見立ててみれば、なんだか現代にもつうづる物を持っているのではないか、と思い取り上げた。ただ、現代と当時と何が違うかと言うと、現代では政治はわれわれの手によって選ばれた代表が為政者となることである。当時の人々はただ嘆くほかない。われわれは違う。嘆けばそれは自分を貶める事になる。
さて、ネズミにいくら貫(つか)えてもネズミである。ネズミが支配する世の中を作らないためにわれわれがいる。それをわかっちゃいない人が多すぎないだろうか?
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